事後情報効果
心理学における「事後情報効果」とは?
事後情報効果とは、ある出来事を経験した後に、その出来事に関連する情報を与えられると、その出来事の記憶がその情報の方向に変容してしまう現象を指します。言い換えると、実際に起こったことと異なる記憶を持ってしまうことです。
事後情報効果は、様々な要因によって起こります。以下に、代表的な要因をいくつか挙げます。
注意: 事後情報が与えられる際、人はその情報に注意を向けます。その結果、記憶に残っている本来の情報よりも、事後情報の方が記憶に残りやすくなります。
記憶: 事後情報が与えられると、記憶が活性化されます。その結果、記憶が書き換えられやすくなります。
暗示: 事後情報は、暗示として働くことがあります。例えば、ある事件の目撃者が、警察官から「犯人は赤い服を着ていた」と暗示を受けた場合、実際には犯人が赤い服を着ていなかったとしても、赤い服を着ていたという記憶を持ってしまう可能性があります。
事後情報効果は、目撃証言や記憶調査などの様々な場面で問題となります。例えば、ある事件の目撃者が、警察官から捜査過程で得た情報によって、実際には見ていないことを見たと証言してしまうことがあります。
事後情報効果を防ぐためには、以下のような対策が有効です。
事後情報を与える前に、目撃者に記憶を記録させる。
事後情報を与える際には、中立的な表現を用いる。
目撃者が暗示されないように注意する。
事後情報効果は、人間の記憶の仕組みを理解する上でも重要な現象です。事後情報効果を研究することで、記憶の仕組みを解明し、より効果的な捜査方法や記憶の扱い方を開発できることが期待されます。
参考URL
事後情報効果 | 記憶に関する認知バイアス | 錯思コレクション100: https://www.jumonji-u.ac.jp/english/
【認知心理学】知覚とは? 心理テストでチェック!: https://www.weblio.jp/content/%E7%9F%A5%E8%A6%9A
知覚と認知:情報処理のしくみ: https://www.jstage.jst.go.jp/article/senshoshi1960/33/7/33_7_331/_pdf/-char/ja
その他の情報
事後情報効果は、心理学以外にも、法学や社会学などの様々な学問分野で研究されています。また、近年では、マーケティングや広告などの実務分野でも注目されるようになっています。
事後情報効果について、さらに詳しく知りたい方は、上記の参考URLに加えて、以下の書籍や論文も参照してください。
ロフタス, E. F., & パーマー, J. C. (1974. Reconstruction of a crime scene from memory. Journal of Experimental Psychology: General, 103, 326-337.